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美東ごぼう

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カルスト台地の赤土育ちは、肉質が柔らかさく、香り上質な絶品ごぼう

今回は、日本最大級のカルスト台地「秋吉台」に抱かれた鉱物資源と農林産品豊かな町、山口県美祢市(みねし)の恵み「美東ごぼう」をご紹介します。

美東ごぼうの歴史

ごぼうは、10世紀以前に薬草として中国からもたらされましたが、日本人は平安時代の中頃からこれを野菜として食べるようになったと言われています。豊富な食物繊維、ミネラル、ポリフェノールを含んでおり、便秘の緩和や動脈硬化の予防に資することが期待されています。美東ごぼうとしての歴史も古く、美東町史には寛文(1661年)の時代には税として上納されていた農産物の中に「ごぼう」の記述があり、当時から商品価値のあるごぼうが作られていたようです。かつては、お米ではなく、ごぼうで年貢を納めていたとも言われているそうです。
美祢市にある生産地では、緻密で直根の末端まで肉付きの良いごぼうができるとして、古くからごぼうの生産が盛んに行われてきました。1986年に美東町に生産組合が設立され、栽培方法の統一、出荷規格の明確化を図り、現在に至るまで30年以上その生産が継続しています。

美東ごぼうの特徴

ごぼうはキク科です。原産地は不明ですが、日本へは中国から薬草として伝わったとされています。海外では日本のように根茎の部分を食べることはほとんどなく、現在でも主に薬として扱われています。山口県内の産地の中でも、肉質の柔らかさと風味の良さが全国で高い評価を受けている「美東ごぼう」。その美味しさの秘密は、美祢市(旧美東町)に広がるカルスト台地です。産地の美東地区はごぼうがおいしく育つ粘土質の赤土で、ごぼうがじっくりと成長し、きめが細かく柔らかな、香りの良いゴボウができます。土の香りを思わせるごぼうの香りは砂地産とは比べ物にならないほどです。また、赤土には石灰岩から溶け出した炭酸カルシウムが含まれ、その栄養を吸収しているのが特徴です。

粘土質の赤土はごぼうが美味しくできる土地だと言われています。一般的にごぼうは、砂地や火山灰土の土地で育てることが多いのですが、その理由として、生育が早く、掘りやすいからです。それに対してカルスト台地の粘土質では、生育に時間がかかります。じっくりと育ったごぼうは、きめが細かく、風味の強いものとなります。野菜は全般的に、粘土質土壌で時間を掛けて育った物は風味の強いものになるそうです。また、砂地では、老化も早く「す」がたちやすいですが、ゆっくり育つ粘土質の物は「す」がたちにくくなります。アクが少ない美東ごぼうの秘密は、石灰岩にあります。石灰岩で覆われた土地だったここは、長い年月をかけ、石灰岩の成分カルシウムを始め、たくさんの自然の栄養分が溶け込み、それらを吸収して、アクが少ない美味しいごぼうが出来るのです。美東町の赤郷地区といえば、カルスト台地の石灰岩が長い年月で風化し酸化した粘土質土壌で、土が赤い色をしています。美味しいごぼう作りに適した土だということです。また、カルスト台地は掘っても、掘っても、ずっと赤土ばかりで石が出ません。だから真っ直ぐなごぼうが育ちます。「日照りごぼうに雨あずき」という言葉があるほど、ごぼうは日照りに強く、雨の少ない年の方が美味しいごぼうが出来るそうです。美東町赤郷は、特に雨量の少ない地域なので、気候条件にも恵まれているということになります。

市場関係者からも、美東ごぼうは、「昔から、肉質が柔らかく美味しいと取引先からの評判」、「やわらかさ、香りの良さで根強いファンがおり、高値で取引」と評価されています。

美東ごぼうの栽培について

長根種系の品種を用いて生産されています。ごぼうは連作障害を起こしやすいため、収穫後は4~5年間同じところで、ごぼう栽培を行わないことを生産者の方々が徹底しており、その間、土壌改良を取り入れて、品質の向上を図っています。土壌改良として、牛糞堆肥の散布や圃場に牧草等を植えたり、秋吉台周辺の刈草を有機質堆肥として鋤き込むようにしたりしています。播種前に前堀として、機械で1m程度丁寧に深耕し土に弾力層を作ります。出荷作業で行う「すなでる」は土が完全に乾燥しないうちに行います。出荷に当たっては、土をよく落とし、病虫害、腐敗等のないものを出荷しています。

また、ごぼうは年間を通じて出荷されていますが、美東ごぼうの出荷は10月~12月です。「美東ごぼう」は、赤土の粘土質土壌で栽培されている長根で先まで均一の太さがあり、香りが高く、柔らかいごぼうです。 一般的に、ごぼうの肉質の柔らかさ、香りの高さ、灰汁(あく)が少ないことなどは、土壌が重くなるにつれて優れるとされています。一方、粘土質の土壌は水はけが悪く、水を嫌うごぼう栽培には不向きな上、硬い土壌では根が曲がったり、また根になったり、収穫時の作業性も悪いです。そのため、当該生産地では、牛糞堆肥の散布、ほ場で牧草等を栽培したり、隣接する秋吉台の丘陵地から採れる刈草を鋤き込みを行ったり、排水を良くしたりして、土壌に酸素が入りやすくなるよう土壌改良を行うとともに、播種前と収穫時には深耕機や油圧ショベル等で土を深く掘り返すなどの作業を施すことで、長根種の特性を活かして、60cm以上のものが多く生産できるようになりました。

 通常のごぼう栽培には、ごぼう作りに適した水はけのよい柔らかい土壌を使うので、収穫を専用の機械で行うことができますが、カルスト台地の粘土質の赤土では土がねっとり固くて、収穫用の機械を使うことができません。収穫用の機械の代わりに、油圧ショベルが使われています。油圧ショベルでごぼうを傷つけないように土を掘って、土の断面にあるごぼうを折れないように丁寧に一本一本掘っていきます。そして、ふつうは水洗いするところを、美東ごぼうは、「すなでる」といわれる伝統的な手法により、水洗いせず、風味や栄養が集中する皮を傷つけないよう、稲わらや柔らかい布等で1本1本手作業によりごぼうの泥を落とす作業を行うことで、ごぼうの香りを損なわない工夫を行っています。

美東ごぼうの普及について

美東町の直売所では土日でも数時間で売り切れてしまうほどの人気で、ごぼうを使ったお土産品やメニューがたくさん開発されています。美東ごぼうは、粘土質土壌で栽培することによる肉質の緻密さ、4~5年にわたる土壌改良による長根なごぼうの生産、丁寧な出荷作業などが消費者の評価となり、香りが高く、柔らかい食感で、美味しいごぼうと県内外において人気のブランドとなっています。

NHK「うまいッ!」(平成27年12月20日全国放送)やテレビ朝日の「世界にひとつ~ミラクルレシピ」の記事になるなど、マスメディアでも美東ごぼうの特性や手間を惜しまない生産者の取り組みが取り上げられています。


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