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さくらんぼの王様「東根さくらんぼ」<GIインタビュー>

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「さくらんぼといったら山形県」ということは、皆さんご存知だと思います。
では、山形県のさくらんぼといったら、何を思い浮かべますでしょうか。

GI登録産品「東根さくらんぼ」は、山形県さくらんぼの中でも最高等級のものです。海外においても、タイでは2019年4月にシリントーン王女、そして同年7月にワチラロンコン国王に贈られており、一年に二度もタイ王室に献上されるなど、非常に高い評価を受けています。

今回は、果樹王国ひがしね6次産業化推進協議会様に山形県産のさくらんぼの中でも特に高品質な「東根さくらんぼ」についてお話をお聞きしました。

東根さくらんぼの魅力

佐藤錦と紅秀峰
東根さくらんぼは、佐藤錦と紅秀峰という2つの品種があります。特に佐藤錦はさくらんぼの高級品種といわれており、東根市が発祥となっています。
甘味や酸味のバランス良く、食味に優れているのが特徴です。

見た目も一級品
また、さくらんぼの色も真っ赤に着色し、見た目が非常に美しいというのも特徴です。さくらんぼの生産量は、全国でも山形県が大半を占めていますが、その中でも東根市は生産量が日本一です。
消費者の方にアンケートを書いていただいていますが、東根さくらんぼは「味がとても美味しい」、「見た目がとても綺麗」、「他のものに比べてとても大きいさくらんぼで非常に見栄えも良い」というような声を頂いています。

「佐藤錦」と「紅秀峰」の違い
佐藤錦は、見た目や味わいが良く、最高品種といわれています。爽やかな甘さと程よい酸味のバランスに優れた食味の良さから、初夏を代表する味覚として贈答品の需要も多く、高い評価を受けています。最盛期が6月中旬から下旬頃と短い期間ですが、その時期が一番美味しい時期となります。

一方、紅秀峰は、佐藤錦と天香錦という品種を交配して開発された比較的新しい品種です。酸味が少なく、糖度が高いのが特徴です。また、佐藤錦と比べて粒が大きく、果肉もしっかりしていることから、非常に日持ちするという特徴があります。こちらは7月上旬頃が最盛期となっています。

地理的特性

昼夜の寒暖差と気候の唯一性
一般的に昼夜の寒暖差が果樹の生育に非常に良い影響を与えると言われています。2003~2020年の気象庁統計によると、東根市では、さくらんぼの成熟の時期である6月の最高気温の平均が26度、最低気温の平均が14.4度なので寒暖差が11.6度あります。
また、さくらんぼの実は、雨に当たってしまうと実割れを起こしてしまうことがあります。6月は梅雨の時期ですが、山形県は比較的雨の量が少なく、日照時間が長いということも生育に良い影響を与えているといわれています。日光に当たると、着色が進みやすく、雨や湿気に弱いさくらんぼにとっては品質保持に適している環境です。
こういったことから、東根市はさくらんぼの栽培に適した地域であると言えるのではないでしょうか。

水はけのよい土壌
東根市をはじめとする周辺の地域は、河川によって作られた水はけのよい土壌が広がっています。これは通気性を好むさくらんぼの栽培に適しているといわれています。土壌の水分が少ないということが、さくらんぼの濃い甘みに繋がっています。
全国各地を見ても、さくらんぼを栽培する地域が限られていることからも分かるとおり、さくらんぼ栽培には気候条件等の要因が大きいのだと思います。

規格の基準

「東根さくらんぼ」として出荷できるのは最高ランクの秀のみ
協議会では、消費者の皆さまに高品質なさくらんぼをお届けするため、さくらんぼの状態を基準化しています。秀・優・良の3つにランク分けし、そのうち「東根さくらんぼ」として出荷できるものは一番上の「秀」のものになります。「秀」とは着色面積が70%以上のものを指します。

一粒ずつ品質を確認

収穫されたさくらんぼは一粒ずつ品質を確認して選果されますが、着色面積だけではなく、基準プレート等を用いて大きさを測りながら選果されています。山形県の場合、生食として出荷されるさくらんぼの基準は19mm以上のM玉とされていますが、「東根さくらんぼ」は22mm以上のL玉だけが出荷されます。22mmといいますと、大きさがちょうど5円玉と同じくらいのサイズになります。これらの等級・サイズを満たしたものだけが出荷されるため、東根さくらんぼを選んでいただくことによって、高品質なさくらんぼを手にしていただくことができます。

山形県内で生産されるさくらんぼは沢山ありますが、そのうち東根市で生産され厳選された良いものだけが「東根さくらんぼ」として出荷されています。

東根さくらんぼの歴史

明治初期に日本に流入
日本にさくらんぼが入ってきたのは明治の初め頃と言われています。当時の日本政府は、海外から輸入してきたさくらんぼを全国各地に配布して栽培を試みましたが、収穫時期が梅雨と重なることもあり、栽培が上手くいかなかったという経緯があるようです。結果的に、山形県内で細々と栽培されるに至りました。

「佐藤錦」の由来
その当時、東根市に佐藤 栄助さんという方がいらっしゃったのですが、その方が「関東地方にさくらんぼを出荷できないか。」と考えました。ただ、当時のさくらんぼは今のようなものではなく、非常に傷みやすく日持ちしないという課題がありました。そこで、佐藤さんがさくらんぼの品種改良に取り組んだといわれています。

大正11年に品種改良に成功し、佐藤さんと一緒に品種改良されていた岡田 東作さんという方が佐藤さんの名前をとって「佐藤錦」と名付けました。そこから「佐藤錦」として一般的に知れ渡っていきました。この二人の功績があり、今の「東根さくらんぼ」に繋がっています。

生産技術の向上と品質の安定化が成功の秘訣
佐藤錦の栽培が成功した要因としては、気象条件、地理的条件、土壌などの生育に必要な条件が揃っていたということに加え、生産者が生産技術向上や品質安定化に努めてきたということも大きなポイントになっていると思います。

その一例としまして、東根市で開発された雨除け施設があります。これは、さくらんぼ畑にビニールシートを張って木を覆うことで、雨が当たるのを防ぎ、さくらんぼの実割れを防ぐというものです。この雨除け施設の普及により安定生産が可能となり、今日の佐藤錦の栽培拡大に繋がっていきました。
現在、この雨除け施設は山形県内で広く普及していますが、はじめにこの雨除け施設ができたのが東根市です。

果樹王国ひがしね6次産業化推進協議会様の活動

品質保持のための活動
「東根さくらんぼ」の生産や販売は、生産者、集出荷業者、農協で行っております。
協議会の活動としては、生産されたさくらんぼが栽培基準が守られているか、出荷基準が守られているかといったことを確認しています。実際に生産者のところに出向き、現地調査や指導などを行っています。
また、GI登録生産者を対象とした「目揃会(めぞろえかい)」という研修会を毎年開催し、基準を満たしたさくらんぼを見本として、着色面積や大きさなどを確認しています。

さくらんぼマラソン大会

その他にも、「東根さくらんぼ」のPRなどの広報活動も行っています。これまで首都圏でプロモーション活動を行ったり、東根市の市長と農協組合長が一緒になってトップセールスを行ったり、農業関係団体と行政とが一緒になって地域を盛り上げてきました。

東根市では毎年6月に「さくらんぼマラソン大会」を開催しています。コロナ禍前には1万2千人以上の方が東根市に来てくださっていたので、PR効果としては非常に大きいものがあります。大会に参加いただいた方にはGI「東根さくらんぼ」をプレゼントしています。

現在コロナ禍の中で効果的なPRを模索している状況ではありますが、引き続き色々な媒体を通してプロモーション活動を行っていきたいと考えています。

東根市果樹研究連合会について
東根市では若手農家の方が集まって農業技術を研究している東根市果樹研究連合会という団体があります。農作業の忙しい中でも日々研究し、さくらんぼをはじめとする果物の品質・生産性向上を図っており、地域農業に貢献しています。

さくらんぼやラ・フランス、りんごなど、様々な研修会を開催していて、会員同士でお互いに評価し合うなどして切磋琢磨し、技術だけでなく経営者としてのレベルアップなども図っているという団体です。

GIについて

東根市と共同で取得
農協で国主催の地理的表示保護制度説明会へ参加したことがきっかけで「さくらんぼでGIを取得しよう。」という機運が高まりました。農協単体での取り組みではなく、東根市と協力して地域全体で取り組んでいこうということになりました。

GI登録によって認知度も向上
例年、東京の市場で「東根さくらんぼ」高級商品1kgパック詰めのものが高値で取引されています。昨年、GI「東根さくらんぼ」品評会最優秀賞1席の品が100万円で競り落とされました。GI登録以降、徐々に東根さくらんぼの認知度が上がってきていると思います。

活用しているテクノロジー

雨除け施設の他にも、さくらんぼの収穫を早めるための加温ハウス設備などがあります。また、作業の効率化・大規模化を目指すためにさくらんぼの樹形を工夫している生産者もいます。
通常、さくらんぼの収穫は脚立に上って作業を行いますが、さくらんぼの木を低く仕立てることで高所作業が少なくなり、作業の安全性の向上を図っています。近年では、さくらんぼの収穫ロボットの開発なども行われているようです。

偽造品対策

模倣品が見つかったという事例は、今までのところ幸いにもありません。協議会では、知的財産保護コンソーシアムという農林水産省が作った組織に加入しており、海外で模倣品が見つかった場合連絡が来るような仕組みになっています。

日本の農産品で初のタイでのGI取得

東根市では、2015年頃から販路拡大のためタイでプロモーション活動などを行ってきた経緯があり、「東根さくらんぼ」の認知度向上を図るためにタイでGI申請を行いました。

昨年の4月ですが、日本の農産品では初となるタイでのGI登録となりました。これをきっかけに「東根さくらんぼ」の海外輸出の増大に繋がっていけばと思っています。さくらんぼは傷みやすいため輸出には課題が多いですが、海外の高所得者の方からは非常に高い評価をいただいています。

「さくらんぼといえば東根市」を目指して

GI登録を受けて6年目のシーズンを迎えますが、「東根さくらんぼ」は着実に知名度が高まってきていると思いますし、年々評価されてきていると思います。さくらんぼに関しては全国的に見れば、さくらんぼ=山形県という認識の方が多いと思います。ですが、今後は「さくらんぼと言えば東根市。」と言われるように、高品質なさくらんぼによりさらに知名度アップに力を入れていきたいと思います。


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