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飲むぶどう「つるたスチューベン」(GIインタビュー)

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ぶどうと言えば山梨県、というイメージの方が大半ではないでしょうか。しかし、スチューベンの生産量はぶどうの生産量でトップとは言えない青森県が断トツで1位なのです。なぜ青森県でスチューベンが生産され、「つるたスチューベン」として魅力を確立し、GI取得できたのでしょうか。その魅力について、鶴田町役場の方にお話を伺いました。

つるたスチューベンの魅力

高い糖度と保存期間

つるたスチューベンの魅力はまずは糖度の高さですね。つるたスチューベンの糖度は20度前後あります。食べてみて、糖度の違いを感じることができます。凄く人気のある品種のぶどうと比べても、甘さに関しては、つるたスチューベンはすごく強いかなと思います。あとは、貯蔵性の高さですね。普通冷蔵で2ヶ月は持ちます。ぶどう専用の冷蔵庫に入れておけば2月いっぱいまで保存可能というところが、他のぶどうと違うところかなと思います。

独特な食べ方

つるたスチューベンは、中の実をそのまま噛まずに飲み込んで、皮に残った果汁を吸うというという食べ方が地元の方には愛されています。

今は種無しぶどうが主流になってきていると思うのですが、つるたスチューベンは種ありぶどうなので種のまわりに多少酸味が感じられます。なので、噛んで食べるよりは、飲んで食べた方が美味しく感じられるというところがありますね。あとは、果肉よりも皮の内側にある果汁が凄く甘いので、皮の果汁も同じく飲んで食べるというのが普通のぶどうとは違う美味しい食べ方だと思います。つるたスチューベンの場合、種もそのまま飲んでしまいます。

スチューベンほど甘くないぶどうだと、つるたスチューベンと同じように噛まずに飲んで皮に残った果汁を吸うという食べ方をしても、甘さが伝わらないと思います。皮の内側にある果汁もあまり量が多くないと思いますので、つるたスチューベン以外のぶどうでこの食べ方をしてもつるたスチューベンとは美味しさが違うのかなと思いますね。

つるたスチューベンの種には、老化防止に効果的なプロアントシアニジンとビタミンE、毛細血管を強くし血流の流れを改善する上に美白効果もあるプロアントシアニジンが含まれており、とても栄養豊富であるといわれています。

長期保存が可能になった理由

青森県はりんごの生産が盛んで、りんごの貯蔵技術が昔からあります。これを上手くスチューベン用に改良して長期保存を可能にしたと言われています。りんごの貯蔵技術として、CA貯蔵という二酸化炭素や窒素など空気を都度調整して貯蔵する方法があるのですが、これを研究所などでスチューベンの成分などを調べてスチューベン用に改良したのではないかと思います。このCA貯蔵という貯蔵方法でないと2月までスチューベンは保存できません。

ワインにした場合

スチューベンにしたワインは非常に甘いと言われています。ただ、ワインによっては酸味や渋みが感じられるものもあります。皮の内側の果汁が甘く中の種の方が渋いので、作り方などによって甘みを売りにしたスチューベンのワインにしたり渋みを売りにしたりなど、調整することができます。

つるたスチューベンにはショ糖が豊富に含まれている

つるたスチューベンの甘さの理由としまして、ぶどう糖と果糖の他に「ショ糖」が豊富に含まれているというところがあります。ショ糖が豊富に含まれていることによって、強い甘みが持続し、口の中に残るという特徴があると言われています。ショ糖は、トロっとした甘い香りが広がる成分であると言われています。

栽培方法

無袋栽培

鶴田町の周辺に岩木川という川と富士見湖という湖があるのですが、そこで水が昼間にため込んだ熱を夜間に放出することで、気温が急激に低下することを防いでぶどうを保護する働きがあるんですよ。なので、有袋にしなくても実を守ることが出来て、その結果太陽の光をより強く浴びて糖度が高いぶどうができるというのが、有袋ではなく無袋で栽培している理由です。

鶴田町でなければ、スチューベンを作ることはなかなか難しいです。他のぶどうと異なり、スチューベンの生産量が青森県で非常に多いというのも、青森県鶴田町がスチューベンを作るのに適した環境であるためです。

垣根仕立て

一般のぶどう栽培は、上からぶどうをぶら下げて栽培するというのが主流だと思いますが、つるたスチューベンで行っている垣根仕立ては、支柱を立ててそこに線を引っぱって這わせるというものです。鶴田町は雪が多いのですが、この垣根仕立ては雪害に強い栽培方法になります。あとは、垣根仕立てにすることによって木の育ち方が強くなり、その結果、粒の肥大にも優れていくことになるので、密着して粒が成長して房も大きくなりやすいというのが採用している理由です。

超長梢剪定(ちょうちょうしょうせんてい)

枝を1mから3mくらい残す選定方法になるのですが、光合成により芽に多くの養分を吸収させて大きな芽をならせることができる方法です。収穫後選定してまた新しく伸びた枝を、その年は実を生らさないで育成して、結果母枝(実が生る元の枝)にすることで、枝に貯蔵養分が多く残って大きい房の生産につながります。この鶴田特有のやり方が難しいみたいで、枝を選ぶ技術が必要になってくるため、あまり他の産地では取り組まれていないようです。

強摘芯

開花前の葉の数を通常の5枚ではなく4枚から3枚とすることによって、実の数を大体70粒から80粒くらいに増やすことで、実の密度が高まります。実が空気に触れる部分を少なくすることで実が乾燥から守られ、その結果貯蔵性が高まることになります。実の数を増やし引き締めて貯蔵性を上げるというのが、強摘心が採用されている理由になります。

品質管理

やはりGIを取得したということで、品質管理にはいっそう気を付けています。糖度18度以上でありサイズがM以上でGIの規格になるので、そこは管理してとても気を付けるようにしています。

基準の統一について

津軽ぶどう協会という団体があるのですが、そこが地区ごとに〇〇支部、〇〇支部というふうに分かれており、そこに支部長という方がいるので、支部長の方を中心にして注意喚起をしてもらっているという形ですね。年に何回か、研修会も行っています。

地理的表示(GI)について

GI登録を受けるに至ったきっかけ

スチューベンをより一層ブランド化していこうという中で、県の担当として総合戦略販売課というところがあるのですが、「地域の旗印」となるブランドを確立させるために何かないかと相談した時に、商標は「町」でやるとなると難しいということでした。(法人格がないと取得できない為)その一方で、「GIは法人格のない団体も取得できる」ということで、徐々にGIの取得をする団体も増えてきている中で、知名度やブランド化アップのためにという意味でいいんではないか、ということで取得することになりました。

GI取得あたり苦労した点

GIを取得するにあたり苦労した点としましては、書類の申請ですね。何度も修正や確認事項などがあったりしたので、修正のたびに書類を提出するというのが一番大変だったかなと思います。申請してからGI登録を受けるまでに1年半くらいかかりました。

GI取得後の変化

メディアというか媒体から取材などの申し込みが特に去年は凄くあったので、そういう部分で注目される機会は増えたのかなと思います。ただ、去年と比べれば、その効果は持続しているという感じではないですね。

GI自体の認知度がまだ広く知られていないというのがあるので、売り上げが向上したとかそこまで大きな違いは今のところ無いですね。ただ、GIを取得してすぐ何か効果がある訳ではないというふうには、去年今年と活動して感じたので、やはりこちらから自主的に活動していかないと難しいのかなと思います。

今後GIに期待すること

国の方でもGIの認知度をもっと広めるような活動をしてもらえれば凄くありがたいなと思います。

トレーサビリティ

鶴田町周辺の市場でもトレーサビリティをやっているところはあります。生産者の方も結構トレーサビリティをやっているという声をよく聞きますし、安心安全が今後より大事になってくると思うので、トレーサビリティを今後もやっていくことは重要かと思います。

つるたスチューベン生産者の中では、市場でやっている取り組みの中でトレーサビリティを既にやっている人はいると思います。つるたスチューベンを生産していく上で、生産者が一体となりトレーサビリティの取組についてやっていければと思っています。

今後のご展望

海外へもゆくゆくは輸出をできればいいかなと思っていますが、まずは国内での認知度向上と販路拡大をしっかりやってから海外輸出の方も徐々にやっていければと思います。主に出荷している地域は関東圏が多くなっているので、そこから日本全国、九州地方でも、より広げていければと思っています。つるたスチューベンは保存も非常に効くぶどうで、「飲むぶどう」という特徴もあるので、全国的に人気になっていけば一番いいですね。

唯一無二の魅力を誇る「つるたスチューベン」(GIインタビューの終わりに)

つるたスチューベンは栽培方法から始まり食べ方に至るまで、他のぶどうではなかなか見られない特徴的なぶどうではないでしょうか。また、ワインでは自在に味を変化させることができるようです。

唯一無二の魅力を誇る「つるたスチューベン」、皆様も是非お試しください。


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